<MB-S1/10AV登場> AVパソコンといえばFM77AVなのですが、実はその登場より前にAVパソコンがありました。その名もMB-S1/10AV! どのへんがAVパソコンかというと・・・ 1.スーパーインポーズ機能搭載 ・・・AVパソコンとしては当然の機能と言えましょう。 2.PSGを2個搭載してステレオ化 ・・・FM音源化の流れとはまた違ったアプローチですね。モノラルのPSG6音としても使えます 3.64色表示可能 ・・・タイリングを使わずに64色表示が可能です(要アナログモニタ)。 ただし、VRAMは48KBしかないので320×200ドットまでです。 4.ジョイスティックポート2個搭載 ・・・高速グラフィックを生かした対戦ゲームもばっちりです。 (2人同時プレイのソフトは確かハドソンからマリオブラザーススペシャルが出ていたはずです。 ジョイスティックに対応していたかは不明ですが・・・) あと、特殊機能としてはタブレットを接続して手描きで絵を入力することができます。 また、BASIC MASTERレベル3シリーズ及びMB-S1シリーズのソフトが使えます。 本体価格はMB-S1モデル20と同じ178,000円(フロッピー無し)。ちょうど漢字ROMが無くなって、その分PSGが1個余分に搭載された感じです。 日立のマシンでは珍しく黒い筺体のS1AV・・・よく見たらノーマルのモデル10を黒くしただけだったり・・・。 フロッピードライブはクリーム色しかないので、ここに並べると相当違和感がありそうです。 しかし、このわずか3ヶ月後、富士通から本体価格158,000円でフロッピーディスクを2基搭載した4096色表示・FM音源搭載のFM77AVが発売されます。 S1/10AVをFM77AVの性能に無理やり近付けようとすると: ①増設RAM128KB・・・\47,000(VRAM容量を考えるとこれで対等) ②第1水準漢字ROM・・・\50,000(漢字ROM搭載モデルとの差額より推定) ③外付けFDD・・・\148,000 が必要です(色数はどうにもなりませんが)。 ・・・FM77AVに加えて差額でさらにPC-8801mk2SRまで買えちゃいそうな勢いです。FM77AVとPC-8801mk2FRの組み合わせなら余裕で2台まとめて買えてしまいます。というか、こんなの商売的に成り立つ訳が無いですね・・・ どう考えても外付けFDDが高過ぎですねこれ。基本性能はかなり高いはずなので本当にもったいないです。 MB-S1は当時のI/O誌でのベンチマーキングでは16ビット機のPC-98と同等かそれ以上の描画速度を有していました。これなら64色モードを使えばアーケード版のゲームも結構なレベルで移植できたはずです。 ただ、S1系はメインRAMが48KBしかないので、他の8ビット機と比較するとどうしても見劣りしてしまいます。当時の主要機種は最低でも64KBは搭載してましたし・・・。最大512KBまで増設可能なのですが、標準がこれでは相当きついです。実際、I/O誌のソフトの広告を見てもそこらじゅうに「要拡張RAM」の文字が・・・。FM-7から移植された名作パズルゲーム「ウットイ」も拡張RAMが無ければ走りませんでした・・・。 当時のS1の広告では「1MBのメモリ空間」というのが大々的に宣伝されており、まさか標準搭載のRAMが48KBしかないとは広告からは読み取れませんでした(ちょっと性能の良いMSXの方が搭載メモリが上だったり)。しかも、アクセス可能なメモリ空間が1MBなだけで、実際には512KBまでしか拡張できないというのはちょっとサギまがいかもしれません。 VRAM不足で各ドットに別々の色が付けられなかったベーシックマスターレベル3の欠点を補ったと思ったら、今度はメインRAMが不足という・・・あと少しのRAMがなぜ標準で付けられなかったのでしょうかねぇ・・・ ただ、それでもハード性能の高さやベーシックマスターレベル3との互換性は魅力的です。大須で互換機の来夢来人がタダ同然で叩き売りにされている時に買っておけば良かったです・・・・(と、思ったら来夢来人からはレベル3との互換性が削除されてるみたいですね・・・)。 友人によると日立のS1は名古屋にあったコンピュータの専門学校HALに大量に導入されていたそうです。S1で勉強できるなんてうらやましい限りです(が、マシンがマイナー過ぎて卒業してから経験が生かされないかも・・・)。 |