8ビット時代の各機種ユーザーの比率について

 8ビット時代の各機種ユーザーの比率に関する考察です。

 各機種ユーザーの実際の比率に関しては諸説があり、客観的なソース付きでまとめられていることが無かったようですので、ここでソース付きでまとめてみました。
 当時中立的とされていた工学社のI/O誌のアンケート結果からユーザー比率を見ています(サンプル数が多いので、かなり信憑性が高いものと思われます)。なお、複数回答ありの調査でしたので、合計は100%を超える場合があります。また、機種・系列の分類は判りやすくするためオリジナルの記事とは少し変えてあります。あと、1%台以下しかない機種については省略しています。

(なお、中立とはいってもI/Oはホビー誌なのでビジネスマシンのPC-9801や、ファミコン的使われ方の多かったMSXは少なめになる傾向はあると思われます)



①'84年10月号
 サンプル数:3,012
 回答期間:'84/06/18~07/18




 この時代はちょうどNECがPC-8001mk2とPC-8801mk2、富士通はFM-7の頃です。
 低価格機種でありながら640×200ドット8色表示・サウンド機能を搭載したFM-7が単独でかなりの比率を占めています。
 PC-8001mk2は4色表示・サウンド機能無しでFM-7と同じ価格帯ではどう考えても不利なのですが、元々のベストセラー機PC-8001の資産が効いたのかまだかなりの勢力を持っていたようです(やはりソフトの力は大きいですね)。
 また、PC-8801/mk2の方はこの時代でもかなりのシェアを持っています。NECだけで全体のほぼ半数というところです。
 シャープは全体としては2割強のシェアがあったようですが、別々の系統にユーザーが分散してしまっています。
 ちょうどMB-S1が発売された頃なのですが、日立系のマシンはこの時点で合計3.4%(うち0.6%がS1)と、既に完全に劣勢になってしまっていたようです。

 しかし、PASOPIA7とかHitBit(SMC-777)とかあれだけ宣伝していたのにユーザーは1%もいなかったんですねぇ・・・。どちらも、性能といい、コストパフォーマンスといいなかなかのものなのですが。
 あと、FM-7の強さに対してその上位機種のFM-11のユーザー数は1.0%しかいなかったりとか(あれだけ宣伝していたのにすさまじい不人気っぷりです)色々と意外ですね。



②'87年1月号
 サンプル数:9,720
 回答期間:'86/10/18~11/18




 この時代はPC-8801系がV2モードで独走態勢に入りつつあったところです。
 一時期の統計ではFM-77が売上No.1だった頃もあったのですが、85年の初めにNECからPC-8801mk2SRが発売されると状況が一変しました。それまでの88はソフトは多かったもののグラフィック表示は大変遅く、音も貧弱だったのですが、ここで一気にグラフィック表示が高速化され、さらにFM音源が搭載されました。
 PC-8801mk2SRにかなり遅れて富士通が低価格でFM77AVをぶつけたのですが、NECからはタイミング良く低価格機PC-8801mk2FRを出されてしまい、価格的なメリットが無くなってしまいました。(なお、このFRの登場によりPC-8001系は完全に存在意義を失ってしまいました。FRのディスク非搭載モデルはPC-8001mk2SRよりも安く、しかもPC-8001との互換性を保っていました。)

 X1系はディスク搭載の低価格機が出てきたせいかかなり伸びています。初代のX1は基本構成(本体・GRAM・ディスプレイTV)だけで30万円もするというお大尽マシンだったのですが、この時代になると最も低価格なFDD搭載機のひとつになっていました。
 MZ-2500のユーザーが5%とまだまだMZ系の勢力は健在だったようです(このマシン、性能の高さもさることながら、デザインが本当にかっこいいです)。
 また、日立の名機MB-S1のユーザーが3%と意外に健闘しています。基本性能の高さで根強いファンがいたものと思われます。
 16ビットではPC-9801に対抗できる勢力が全くありませんでした(ここには現れていませんが、富士通の対抗馬FM-16βはCP/Mを搭載してしまったのが災いしたのかユーザー数はわずか1%という結果に・・・)。

 PC-8001系やPC-6001系のマシンのユーザーが意外に多いのは、複数回答なのでセカンドマシンとして持っている場合が多かったのかもしれません。

 ちなみにここでもFM-11は1%という結果に終わっています・・・(PSGすら搭載できないのでホビー用途としては絶望的でしたし)。

 しかし、こうして見るとPC-8801系は基本性能的には特に抜き出ている訳ではないのですが(というか、逆に下の方かも・・・)、ソフトの数で圧倒していったことが判りますね。性能だけならMZ-2500やFM77AVの方がかなり上に思えたのですが。




統計で不人気っぷりが目立ったFM-11。
本来はFM-7ではなくこちらがPC-88対抗だと言ってももはや信じてもらえそうにありません・・・・。
ただ、熱狂的なファンも多く、大学の時の先輩はFM-11について語らせると6時間は楽に続けられました。
16色640×400ドットの表示能力は当時の8ビットマシン中では最高だったりします。




 なお、1回目の調査での女性の比率はわずか0.6%(19名)、2回目では0.2%(17名)と女性の比率が極端に低く、しかも減少しています(これ、さらに時代が進むとエロゲが台頭してくるので限りなく女性比率はゼロに近づきそうです)。アマチュア無線に匹敵しそうな女性比率ですね。


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